lean on me


英会話学校の元同僚の先生に誘われてゴスペルライブに行ってきた。
別にクリスチャンではないけれど、昔そういう学校に通っていたことがあるからか、ゴスペルを聞くのはけっこう好き。
しかも『天使にラブソング』の流行のおかげか、R&B調になってたり、いろんなアレンジが入って、ますます身近な感じになったしね。


歌っていたのはBirth Cryというグループ。
birth cry @ WEB
結成されたばかりということだったけど、すごく素敵なライブでした♪


その中でもlean on meという歌が素晴らしかった!
もちろん歌声も素敵だったのだけど、歌詞*1もよかったのー。


I am here, You don't have to worry
I can see your tears
I'll be there in a hurry when you call
Friends are there to catch you when you fall
Here's my shoulder you can lean on me


この歌詞を聞いたとき、夫にいろいろ話を聞いてもらったときのことを思い出した。


大学院に進学してすぐにジョージア大に留学した。
アメリカの大学で自分がどれだけやれるのか試してみたい、とずっと思っていたので、その夢がかなってすごく幸せだった。
第二言語教育や言語学の授業に出て、プレゼンテーションやクラス内のディスカッション、ペーパーなど、ひーひー言いながらこなして、帰国した。
でも、正直なんだか燃え尽きたような感じになっていたので、そのまま復学するかどうかを迷っていたときに、母校で英語を教えてみないかという誘いがあったのだ。
1年間という期間の常勤講師。
将来、絶対日本語教師になる!と決めていた私は、英語を教える経験もきっと役立つはずと思い、迷わず引き受けた。
大学院はさらに1年休学した。


1年後、大学院に復帰したが、同時にインターナショナルスクールでの日本語の非常勤の仕事を得た。
研究するよりも、現場で働くことが自分にはあっていると感じていたし、現実問題明日の授業をどうするかで頭がいっぱいで研究にまで手が回らなかった。
結果、修了を1年先送りすることになった。


その時に大学院を辞めようかどうかで、ずいぶん悩んだ。
研究を続けていく自信もなかったし、論文を書き上げようという気力もなかった。
それでも辞めなかったのは、修士があるのとないのとでは、日本語教師として働く場の選択肢の数が大きく違うということを知っていたからだった。


修了しよう、と決めてからは本当に忙しい日々が続いた。
毎日の授業、保護者との面談やその他の学校行事、そして大学院の授業、もちろん修士論文も書かなくてはならないし、学会にも参加した。
毎日毎日何かに追われている日々が続いていたけど、いつも常にすることがあって、充実感があったし、周りの人に「頑張ってるね」と言われることでますますやる気になれた。


そして留学や休学も含めて丸5年の院生生活にようやくピリオドを打つことができた。


でも修了してしまうと、仕事だけの毎日になる。
読まなくてはいけない論文もないし、準備しなきゃいけない発表もない。
すると、なんだか心にぽっかり穴が開いてしまったのだ。


自分で「頑張ってる」と思えなくて、急に不安になった。
一緒に修了した友人たちは新たな職場で活躍し始めていた。
自分はというと、修了前から教えていたインターナショナルスクールでの授業が相変わらず続いており、それに週に2コマ母校である大学での日本語のクラスが増えただけだった。
インターナショナルスクールの拘束時間が長く、他大学の非常勤募集に応募することはできなかった。
大学や研究機関への就職から離れていくような気がした。
大学院を修了して、一体私は何をしたかったんだろうかと不安になった。
そしてみんなに置いていかれたような気がして、焦りでいっぱいになった。
でも「いつも前向きに頑張る自分」を演出したくて、人には言えなかった。


そんなとき、すでに社会人として働いていた夫とゆっくり話す機会があった。


「なんだか置いていかれたような気がするねん。私は全然頑張ってない。頑張ってない私は価値がないように思えて、ものすごく焦ってしまうねん。」


と、ずっと思っていたことがつい口から出てしまった。


すると彼は、こう言ってくれたのだ。


「ちゃんと頑張ってるやん。インターナショナルスクールでの仕事だって、いい仕事やろ?大学とかで働きたいなら、そうしたらええと思うけど。それに、別にいっつも必死に頑張ってなくたっていいやん。ちょっと休憩して、また頑張ろうって思えたときに頑張ったらええんやから。わしとおるときは普通にしてたらええんとちゃう?お互いもう長いこと知ってるんやし、今更かっこつけたってしゃーないやん(笑)」


「ほんまやね(笑)」


と言いながら、私は泣いてしまった。
それでいいんやって、と言われたことが嬉しかった。
私は日本語を教えたいんであって、どこで教えるかは大きな問題じゃないんだっていうことを忘れてしまっていた。
あまりにもほっとしたのか、涙がほろり、ぐらいのかわいい泣き方ではなく、鼻水もずるずる出るくらいに泣いてしまった(笑)
そんな私を見て、夫は笑いながらティッシュを差し出した。


「うわぁ〜、そんなに鼻水垂らしたやつ初めて見るわ(笑)」


別にこれまでも特に自分を飾って彼と接していたわけではなかったけど、なんだか本当に自分を飾らなくてもいいんだ、と思えた。


そこから、心の中のいろんなことを夫と話せるようになったんだと思う。
それが、まさに彼に「You can lean on me.」と言われた瞬間だったんだと思う。


もちろん「彼なしじゃ生きられない」みたいなのは嫌だけど、夫の存在はとても大きい。
友達だった頃から彼を見て、彼の生き方を見て、すごく刺激を受けたし、勇気付けられてきた。
あんまり自分のキャパが大きくないのはよ〜く分かっているので、どこまでできるか分からないけど、私も夫に「You can lean on me.」と言えるようでありたい。


これから先、今みたいな気持ちを忘れちゃって、トゲトゲした気持ちでいっぱいになったとき、この曲を聴こう。
そして笑顔で「You can lean on me.」と言えたらいいな。